「旅するエストニア料理レシピ」出版後のおはなし
※長いですが最後にちょっとしたお知らせがあります。
2021年10月20日に「旅するエストニア料理レシピ」が出版され、当日はプレス発表をコロナ禍にもかかわらず、駐日エストニア大使館様の多大なるご協力で、大使館内で発表をいたしました。
大使館内で調理をし、国章が輝くお皿を使ってエストニア料理を盛り付ける非常に感慨深いイベントになったことを今でも昨日のように覚えています。そして、長年の親友が司会をしてくれるなどという嬉しいヘルプも非常にありがたかったです。
本を作ることについて過去にどこかで触れましたので、今回は出版(印刷)してからどうしたかを記していきたいと思います。そう、何度か触れましたが、自費出版です。
これから自費出版本を作りたい、自分で販売したいという方にまさに作った後、どういう状況が発生するかを予測したい方に以下を読んでもらえれば、「こんなはずじゃなかった」という思いが少なくなるかと思います。(そんな人がいるかわからないですが)
最近は同人誌、zine(これらの違いはよく分かっていませんが)なども自費出版というカテゴリと思いますが、何が普通の出版と違うという詳細は割愛するとして、つまるところ自費出版は本の企画、製作、販売に至るまで全て自分が行うことです。売れなかったときは自分でなんとかしないといけないわけです。
売らないと基本的に自分の手元から在庫がなくならないので、作っただけで満足していると製本会社から納品された自分の本が「どかっ」と、段ボールに入っているだけです。そう、「ただのいらない紙」です。自費出版された方は愛情持って作っているはずで、その場にずっと紙の状態で置かれているのではなく、人の手に渡って情報を知ってもらう必要があります。自己満足もあるかもしれませんが、他人に役に立つといった目的のために書いたのです。
私の場合は、3年で在庫をなくすくらいの目算でいましたが(市場を考えて3年で消化できる妥当な数量を発注したため)、在庫がずっとあるという状況は印刷物ですので、品質的にも長く持ち続けるわけにはいかないと考えました。当然自費出版のため全国に流通させる販売網は著者である私が見つけるしかないわけで、さまざまな方にエストニア料理本を販売してくれる奇特なお店がないかと伺うと、これまた優しい方々が専門的に北欧をテーマ、旅をテーマ、オーナーさんがこだわって選書した本を販売している本屋さんなど魅力的なお店をご紹介くださいました。
私の特異体質として、新規開拓が好きということも明記しておきます。営業職を長年勤めていた経緯もあり、常に新しいお客さまにお会いすることが、苦ではなかったのです。書店様でのトークイベント企画のお話もいただき、自分の思いや経験を語る場所をいただけたのも楽しい経験でした。
そして、ありがたいことに、全てのお店が拙著の販売をしてくださいました。そうこうしているうちに、逆に「取り扱い可能ですか?」「お客さまから問い合わせがあったのですが」と、お店の方から逆にご購入のお問合せのパターンも出てきました。
そして、もちろんこのサイト、Amazonなどで購入してくださったユーザーさんもいました。どこかの業者から出荷されていると思ったあなた、残念! 実は全て私が出荷していました。ですから、一冊ずつご注文いただくたびに感謝の気持ちで出荷作業をしておりました。
お取り扱いいただいているお店については、仮に委託ではなく買取だとしても、前職の業界は在庫をお店に長く持たれることを嫌う業界だったので、店頭在庫が消化されるまでは売れたと考えないという慣習があったため、常に店頭在庫が滞留していないか気にしていました。
イベントを開催のご提案をしたり、お声があればトークイベントなど販促活動を重点的に行いました。
「あなたが初めて在庫数をきいてくれたよ」という販売してくださったお店の方からのコメントもいただきました。
きっと本の業界では、在庫を気にすることは相当珍しい人なのだと思いました。やはり、出版会社がコントロールされているので、出版会社にはお作法があるのだと思います。著者直接で書店で販促をすることもないと等しいですからね。逆に、私の販促方法がご迷惑だったお店もあったのかもしれません。この場を借りてお詫びします。
上記のように構ってほしくないお店にとっては、迷惑な著者兼営業マンだったと思いますが(苦笑)、結果として全ての在庫が私の手元からなくなったのは発売後約3ヶ月後の2022年1月末でした。これが早いか遅いかは私には判断ができません。他の方からは「すごいよ」と言っていただけますが、出版してみなければ全てわからなかったのです。もっと印刷しておけばよかったという後悔がないとは言いませんが、この数量は私の予想の市場の大きさと実際にギャップがあることを物語っています。
エストニア、バルト三国市場を過小評価していたと思います。そしていまだに世間ではそれほど売れないと思われている分野だと思っています。しかし実際は違っていたということをここに強調しておきます。
ありがたいことに、この夏ごろまでに日本全国の店頭からはほぼなくなり、どこかのご家庭や、読みたい方の手元に届いたと思います。
「店頭で見つけたあなた、全国で最後の1冊の可能性が高いです」
たまに、某リサイクルサイトや通販サイトで印刷版が転売されているのを見ます。絶版だと思って、ポチりとしたくなる方の気持ちはよくわかりますが、私の本はそんなに高くないので、定価より高い場合はグッと堪えて買わないでもらえるとありがたいです。高い拙著を購入するなら、正当な値段で手に入れ、その分のお金で材料を買って、たくさんエストニア料理を作って、みんなで楽しんでもらいたいです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
最後の1冊を手にできなかったあなたに朗報です。
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